10年くらい昔の話・・・
お仕事を通じて知り合いになったご婦人がいました。
当時、70代前半くらいだったと思います。
大変多趣味な方で、お家の中には所せましと本と陶器が並んでいます。
私はそこへ週1回出向きます。
簡単な事務手続きのためです。
いつもリビングにお通しいただきました。
その方がいらっしゃるまで、私はそのリビングに整然と並んでいる本と陶器を眺めて過ごします。
事務手続きをしてちょっと世間話をして・・・、いつも10分程度の滞在です。
ある日を境に、お家の中に変化がありました。
本棚にあった本はひもで縛られリビングの片隅に、陶器も新聞紙にくるまれて棚の上に・・・。
普段はプライベートのことなどお尋ねしたことはありませんでしたが、お聞きしました。
「お家の中、整理されているのですね」
かなり進行したガンだと教えてくれました。
2週間前に病院でそう告知されたそうです。
これから始まる「闘病生活」に備え、自宅から有料老人ホーム等の施設への転居をお考えとのことでした。
その方のガンは「腹膜播種(ふくまく・はしゅ)」と言って、とても特異な転移をしたガンです。
血行性でもリンパ性でもなく、「種を播くように」腹膜に飛び散ったガン。
少し調べた限りでは絶望的な情報しかありません。
インターネットとにらめっこをする日々が一週間くらい続いたでしょうか、ある看護婦さんのブログを見つけました。
そこには「腹膜を切除」するお医者さまの情報と、その病院の情報が掲載されています。
国内でその手術ができる病院は2つしかないことも・・・。
「メリット」「デメリット」では割りきれない「何か」
その方は滋賀県にある病院で手術を受けることができました。
術後の経過は順調で、今でもご自宅で元気にお過ごしのこと。
毎年の年賀状でご報告を頂いています。
ご両親を自宅で介護するか、施設を検討するかを考えるとき「メリット」「デメリット」では割りきれない「何か」があると思っています。
言葉にはできるけれど、その言葉では表現しきれない「何か」。
状況は異なりますが、私がその方に抱いていたのはきっとその「何か」だったと思います。
理屈ではない「何か」。
他人には決してわからない「何か」。
当事者にしかわからない、複雑で深刻な「何か」。
そんな「何か」を抱えて葛藤する方たちへ・・・。
ささやかなお手伝いができればと思っています。
代表プロフィール
![](https://nagareyama-massage.co.jp/wp-content/uploads/2022/03/image-660x660.jpg)
【名前】野沢 信之
【出身】千葉県(八千代市生まれ 野田市育ち 現在は柏市在住)
【家族】奥さんと12歳・3歳の息子の4人暮らし
【仕事】あん摩マッサージ指圧師・鍼灸師(国家資格)
【誕生】1975年(昭和50年)生まれ
【学歴】獨協高校⇒明治学院大学
【職歴】 平成24年~平成27年 ぶどうの樹(江戸川区・訪問マッサージ) 平成27年~令和3年 ながれやま訪問マッサージ(流山市) 令和4年 けあ・あんだんて 設立。この間、星 貴子先生 西村 久代先生橋本 佳子先生に師事。現在はけあ・あんだんて にて「ご自宅での生活の継続」を目的に医療・訪問マッサージを行う。
【趣味】読書 ロードバイク
【好きな作家】夏目漱石 泉鏡花 レイモンド・チャンドラー
【好きな音楽】宇多田ヒカル マイルス・デイビス ビル・エバンス
【このサイトの目的・理念】
・「ご自宅で介護をする」ことは覚悟のいることですが、そんな方々を勇気づけるサイトにすること
・自宅で介護をしている方々の情報を発信しながら、見てくださる方が少しホッとできるサイトにすること
・すべての医療関係者の皆様に敬意を払いながら(^^;)、個人的な見解も書いていくこと