傷病名はALS(筋萎縮性側索硬化症)、仰向けの状態で寝たきりのAさん。
「全身の血行促進」を目的としたマッサージを行ったあと、「関節拘縮防止」のため施術毎に全ての関節を動かします。またベットの下から手を入れて「呼吸筋の萎縮予防」も行います。
1日でも長くご家族との幸せな時間を過ごして頂くため、心を込めて施術しています。
まずは施術の前にスタートポジション(解剖学的肢位)にしていきます
Aさん、こんにちは!
今日もよろしくね、さて、スタートポジションにしていくよ。肩と頭の位置をフラットにして・・
腰もね、手をいれて持ち上げて・・・、下ろします
脚も一度持ち上げて、下ろします
自分の力で身体の向きを変えることが難しいAさん、肩・腰・脚の位置を整え身体にかかる圧力を分散していきます
今日は上半身から、まずはリラクゼーション・マッサージ
まずは優しいタッチで腕をさすっていきます
手掌をほぐしていきます
寝たきりの方はどうしても手足の血液循環が悪化します。
冷えてしまう傾向にありますので、しっかり温めながらマッサージ
静脈の流れに沿って前腕部分をマッサージ
外側もマッサージ
循環改善のため、末端から体幹へ向かって
循環改善マッサージの次は、筋肉をほぐしていきます
続いて上腕部
同じく循環改善のため末端から体幹部へ
筋肉をほぐすマッサージも行います
Aさんは発語が難しいのでしっかりと表情を確認しながら
Aさん、腕を上げるよ~
腕の裏側もマッサージ
肩もマッサージしていきます
ここはちょっと固くなってるね・・・、気持ちいい? Aさん(笑)
発語が難しい「筋萎縮性側索硬化症(ALS)」のAさん、常に表情を確認しながらリラクゼーションマッサージを行います
次は上半身の各関節を動かして、関節可動域確保の施術
さて、続いて各関節を動かしていくよ♪
肩の下に手を入れて肩甲骨をゆっくりと動かしていきます
今度は胸を反らせるイメージで大胸筋を伸ばすよ
方をサンドイッチして、上下運動
肩回りを動かすと、呼吸も楽になってきます
肩関節を動かすんだけど、Aさんは「弛緩性マヒ」の状態に近いからちょっと注意
脇の下に手を入れてしっかりホールド、脱臼を防ぎます
次は肘関節ね
手のひらを上の状態で曲げて伸ばしをしていきます
手の指関節も曲げ伸ばし・・・、ギュッと握って
伸ばします!
最後に手関節をしっかり曲げ伸ばし、これで上半身の関節はすべて動かしました!
筋力低下・筋委縮(「筋萎縮性側索硬化症(ALS)の症状」に伴う、関節拘縮を防ぐため、関節可動域訓練も必ず行います
次はね、いよいよ筋力トレーニング(筋力強化運動)、上肢からね
さーて次は?
そう、いよいよ筋力トレーニングだよ!
嫌だ?(笑)
肘を固定して、Aさん肘を曲げてみて、いいよ。
Aさんの上腕二頭筋の収縮を感じるよ!
よーし、今度は逆だ
手首を手前にたおしてみて
重度のALS患者さまに対して(過度の)筋力トレーニングは実施しないことがリハビリテーション専門職の間のセオリーとなっておりますが、Aさんは軽度のため筋収縮を促す程度のトレーニングを行います
次は下肢(脚・足)の施術・・・、少しマッサージもしようか?
Aさん、リラックスしてね
まずは脚全体をさすります
優しく足全体を包み込んで、足裏をマッサージ
Aさん、これ気持ち良いでしょ
すねの外側(前脛骨筋)をほぐしていきます
今度はふくらはぎね、Aさんちょっと足を曲げるよ・・・
太ももの前と外側をマッサージ
続いて後側・・・、手掌部を使って優しく包みます・・・、
これは循環改善のマッサージ
太ももの裏側(大腿二頭筋・半腱様筋腱)をマッサージ、手掌部を広く使って刺激量をコントロールします
Aさんのように、寝たきりの方は体の血行が非常に悪くなりますので、下肢(足・脚)の循環改善マッサージは大切ですね
さーて、次は関節拘縮予防。下肢の関節を動かしていくよ(関節運動)
さあ、動かしていこう!
まずは基本通りの足指関節から
続いて、膝関節を伸ばします
股関節の屈伸運動
Aさん、動かす速さはこれくらいでいい?
内・外のリズムで股関節の内外旋。
Aさんは、弛緩性マヒの状態に近いので軸をしっかり支えて動かす方向に注意します
腰の下に手を入れて、脊柱の回旋運動
少しづつ手を移動させて、背中の方へ・・・。
肺を動かすことで去痰にも効果があります
反対側からも行います
もちろん、反対側の関節もすべて動かしていきます
末端部分の関節も、すべて動かします
筋力低下に伴う関節拘縮を予防・改善のため、下肢の関節もすべて動かしていきます
最後は体制・肢位を整えて・・・
施術の最後は着衣のしっかり整えて、褥瘡予防の観点から体制・肢位を整えます
Aさん、おつかれさまでした。
次の施術は明後日ですね、また来ます!
施術が終われば一度フラットな位置に戻して、褥瘡を予防するため半臥位(30度)にするなどその日によって臥位を工夫します